いきたい僕ら

「あの……親とか、先生に相談は……?」

『……できないよ。疑惑の中にはカンニングもあったからね。教師から見たら俺はそういう生徒。俺の言葉なんて聞く耳持たない。親は……。』

孤児院育ちの俺のことを気遣ったのだろう。

朝陽さんはそこで言葉を切った。

「俺のことは気にしないでください。吹っ切れてるので。」

『そう……。』

悲しそうにそう呟いたあと、話を続けた。

『……実の親じゃないんだ。いるはずのなかった子供が、いじめなんて厄介ごとを持ってきたら嫌になるだろう?』

「……そうでしょうか?」

親とは少し違うかもしれないけど、梨杜さんはどちらかというと、厄介ごと?大歓迎!って感じだ。

『少なくとも、俺はそう思った。見捨てられるって。っとまあ、それで限界きて、全部嫌になって、いっそのこと死んでやろうって。どう?納得できそう?』

少し考えてみる。

自分がもしその立場だったら……。

何度考えても、答えは変わらなかった。

「……無理ですね。」

俺がしてるのはあくまで想像だから、その辛さの本質をわかっていないのかもしれない。

だからこんな結論しか出せないんだと思う。

朝陽さんは俺の答えを聞いて、嬉しそうに笑った。

『ははっ、だろうね。いいよ、できなくて。理解されるなんて思っちゃいないから。でも、止めないでほしい。』

悲しそうに言った。

「……なんでですか?」

『何でって……。そもそも君さ、どうやって俺を止めるつもり?まさか1人で来ようってんじゃないよね?』

「……」

確かに、律樹さんを連れて行くつもりだった。

『無言は肯定ととるよ。それが嫌なんだよ。』

「どういうことです?」

朝陽さんは少し笑って、それでいてものすごく悲しそうに言った。

『かわいい弟の前では、かっこいいお兄ちゃんのままでいたいじゃん?』

「……それだけ?」

なんか、もっと言えない理由でもあるのかと思った。

意外と単純なんだな、この人。

『そう。それだけ。』

「変な人ですね。」

『変な人だよ。どう?止めに来る?』

「……律樹さんの気持ちはどうするんですか?かっこ悪くても生きててほしいと思いますよ?」

この人の行動原理は俺と同じだ。

全部、「律樹さんのため」。

だからこう言えばもう少しためらってくれると思うんだけど……。

『俺が嫌なんだよ。こんな弱くなった俺を見せたら、律樹に幻滅される。それだけは耐えられないんだ。』

……訂正。

この人はただのエゴイストだ。

結局は全部自分のため。