いきたい僕ら

……レンには変わった様子はないし、他の2人もおそらくいつも通り。

多分他の人も、「イーグルサイト」なんて組織は覚えていないんだろう。

「……あの!」

急に、レンがひどく思い詰めた表情で話しかけてきた。

「どうしたの?」

まるで何かに怯えているような様子だったから、できるだけ優しく聞く。

「あの……えっと……」

珍しく歯切れが悪い。

「言ってごらん?大丈夫だから。」

「その……あ、明日!」

「明日?」

「明日、外……行きませんか?」

目を逸らして、レンは言った。

直感的に、本当に言いたかったのは全く違うことだと分かった。

「レン……?」

「気が乗らないですか?」

「いや……。」

でもそれでもいいと思う。

僕だって、言いたくないことくらいあるし。

……このとき、レンを無理にでも問い詰めていれば、違う未来があったかもしれない。

「外……行けるなら行きたいけど……。僕まだまともに歩けないよ?」

せいぜいこの個室をちょっと歩けるくらいだろう。

それもかなりゆっくり。

「俺が車椅子押しますよ。行きたいんでしょう?」

「……うん。」

どこに、とは言わないが、お墓参りのことだろう。

僕が頷くと、レンは嬉しそうな顔になった。

「じゃあ行きましょ!このあと、お医者さんが診察に来るので、そのときに許可もらいましょうか。」

……レンの言葉通り、すぐに医者が傷の状態を確認しにきた。

「うん、だいぶ順調だね。」

医者が言った。

僕はレンと顔を見合わせて、医者に言う。

「あの、明日の外出許可もらえません?」

「うーん……親御さんはなんて言ってる?」

親御さんじゃないけど……梨杜さんの許可だったらさっき電話でもらった。

「医者が許可出したらいいよ。」とのこと。

「先生の許可があればいいそうです。」

僕の言葉を聞いて、医者は考えているようだった。

かなり長い間そうして、やっと口を開いた。

「……条件付きなら、いいでしょう。」

「条件?」

「そう。1つ、車椅子で行って、そこから降りないこと。2つ、そこの君が、絶対に目を離さないこと。3つ、無事に帰ってくること。これらが守れるならいいよ。」

……いけるでしょ。

「守れます!」

「俺もいいですよ!」

僕たちが返事したのを聞いて、医者は許可証を出してくれた。