だけど、仁科いなり店がテレビで紹介された影響は良いことだけじゃなかった。
「いらっしゃいませ!」
ある日の夕方。
バイトの子が風邪で休んでしまい、私が急きょお店に入っていると、ガラリと勢いよく扉が開いた。
「ふ~ん、ここ? 蒼木様の彼女が働いてるって店は」
「なんか貧乏くさ~い!」
「いかにも庶民って感じ!」
……げげっ。
入ってきたのは、同じ中学の制服を着た女子生徒が三人。
その顔には見覚えがあった。
あの子たち……生徒会執行部の人たち!?
ど、どうしよう。
お母さんに接客変わってもらおうかな。
そう思ったんだけど、お母さんは違うお客さんの注文を聞いてる。
仕方ない。
私は笑顔を作り、三人に話しかけた。
「……い、いらっしゃいませ。お好きな席にお座りください」
三人はブスっとした顔をして、無言で近くの席に座った。
こ、怖いっ……!


