妖狐少女と御曹司~最強女子は御曹司くんのニセ彼女!?~

 ある日のお風呂上り。

 私がタオルで髪を拭いていると、テレビからこんな声が聞こえてきた。

『それでは今日はこちらのお店を紹介します。青いのれんがとっても素敵なこちらのお店は仁科いなり店さん。中に入ると素敵な男の子たちが何やら話し合いをしています』

 私は慌てて顔を上げた。

 見ると、テレビ画面に見覚えのあるおいなり屋さんが映っている。

「えっ……これうち? いつの間に取材に来てたの!?」

「朱里がちょうど美化委員の仕事でいなかった日かな? いやあ、急にテレビカメラが来たんでびっくりしたよ!」

 お父さんが照れたように笑う。

 ええー!

 私がいない間にそんなことが起きてたなんて!

『こちらの男の子は蒼木グループの御曹司の凪季くん。今日は会社で出す新作のスニーカーのデザインについてクラスのお友達に意見を聞いているようです。こんにちは、凪季くん』

 テレビ画面の中、レポーターが話しかける。

 蒼木先輩はにこやかな笑顔で答えた。

『こんにちは』

 ひ……ひえ~、蒼木先輩がテレビに出てる!