だけれどそれからしばらくしても、お客さんは戻ってこなかった。
ライバルのチェーン店はすごく安いし、味もそれなりに美味しい。
だからしょうがないと言えばしょうがないんだけど――。
「はあぁ」
私が机に突っ伏していると、心菜ちゃんがやって来る。
「どうしたの? 元気ないね」
「うん、それがね――」
私が心菜ちゃんにお店のことを話そうとした瞬間、大きな音を立てて教室のドアが開いた。
「仁科朱里はいるか?」
――ざわり。
教室の空気が一瞬にして変わる。
それもそのはず。
教室に入ってきたのはあの超イケメン生徒会長の蒼木凪季だったんだから。
「あ、あの、仁科朱里は私ですが……」
私は恐る恐る手を挙げた。
蒼木先輩の、冬の夜空みたいな涼しげな瞳が私を見つめる。
ど、どうして私?
私、何かした!?
と考えて、先輩のことを助けたことを思い出す。
……あっ、もしかして、あの時のこと!?
ひょっとして妖狐の力のことを聞かれる?
だとしたらどうやって答えればいいんだろう……!
私が混乱していると、蒼木先輩はそんな私の顔を見てふわりと微笑んだ。
「やっと見つけた……」
「へ?」
蒼木先輩はポカンと口を開けている私の両手をギュッとにぎりしめた。
「仁科朱里――あんた、俺のものになれ」
え……?
えええっ……!?
ライバルのチェーン店はすごく安いし、味もそれなりに美味しい。
だからしょうがないと言えばしょうがないんだけど――。
「はあぁ」
私が机に突っ伏していると、心菜ちゃんがやって来る。
「どうしたの? 元気ないね」
「うん、それがね――」
私が心菜ちゃんにお店のことを話そうとした瞬間、大きな音を立てて教室のドアが開いた。
「仁科朱里はいるか?」
――ざわり。
教室の空気が一瞬にして変わる。
それもそのはず。
教室に入ってきたのはあの超イケメン生徒会長の蒼木凪季だったんだから。
「あ、あの、仁科朱里は私ですが……」
私は恐る恐る手を挙げた。
蒼木先輩の、冬の夜空みたいな涼しげな瞳が私を見つめる。
ど、どうして私?
私、何かした!?
と考えて、先輩のことを助けたことを思い出す。
……あっ、もしかして、あの時のこと!?
ひょっとして妖狐の力のことを聞かれる?
だとしたらどうやって答えればいいんだろう……!
私が混乱していると、蒼木先輩はそんな私の顔を見てふわりと微笑んだ。
「やっと見つけた……」
「へ?」
蒼木先輩はポカンと口を開けている私の両手をギュッとにぎりしめた。
「仁科朱里――あんた、俺のものになれ」
え……?
えええっ……!?


