〇映画館内(巨大スクリーン)
  カップルシートに座る二人 大きなポップコーンの入れ物が二人の間にある

 天馬「通る人が居るよ。」

  狭い席の前を通る人から、天馬が莉恋の前に手を出してガードしてくれる。
  
 莉恋「ありがとう。」

  天使モードの天馬にドキッとする莉恋 天馬を意識して緊張する
  アニメの作品を観る二人 

 天馬「ウオッ。そう来たか。」

  リアクションと声が大きい天馬

 莉恋「シー。」
 天馬「なんでだよ!」
 莉恋「心の声漏れてる!」

  映画にのめりこむ二人

 莉恋「グズ・・・。」

  映画の展開に感動して涙がこぼれそうになる莉恋
  天馬にバレないようにティッシュを探す
  
 莉恋(ヤバ。天馬に見られたら、何て言われるか・・・。)

  莉恋が横に居る天馬を見ると、天馬は大号泣

 莉恋「男のくせに。」

  つい吹き出す莉恋は、持っていたティッシュを天馬に差し出す
  横を向いて鼻をかみ、顔を赤くする天馬が小さくつぶやく。

 天馬「クソ、こんなはずじゃ・・・。」


〇映画館の外観
  映画館を出たところで莉恋の着信音が鳴る

 天馬「メール?」
 莉恋「たぶんエンスタのお知らせ」
 
  スマホをチェックした莉恋の目に、茉生のSNSの新着画面が映る

 莉恋(え! コレ、どういうこと?)

  茉生のエンスタのメッセージ「彼ぴと映画デート」
  彼氏とデート中という投稿と天馬を見比べて混乱する莉恋

    
〇ファーストフード店の窓際のカウンター
  カウンター席に並んで座る二人。映画のパンフレットを見ている 
  机にはドリンクとポテト
  天馬が莉恋のドリンクを物欲しそうに見つめる

 天馬「そのチョコシェイク、おいしい?新作だよね。」
 莉恋「うん! 天馬も頼めば良かったのに。」
 天馬「ひとくちちょうだい。」
 莉恋「あっ、ダメ・・・!」

  莉恋のシェイクを素早く奪う天馬。
  取り返そうとする莉恋の手を払いのけながら吸い続ける。
  
 カウンターを横切る店の客がボソリ「イチャイチャしてんなぁ。」

  恥ずかしくなってうつむく莉恋 ポテトを高速で口の中に押し込む。
    
 莉恋(何なんコレ。デートみたい!)

  茉生のエンスタを思い浮かべながら天馬の横顔を見つめる莉恋 思い切って天馬に切り出す

 莉恋「あのさ・・・私、最近茉生に会ったんだよね。」
 天馬「俺も先週、急にロイドに呼び出されてランチしてきたよ。」
 莉恋「天馬と茉生は・・・つき合ってるんだよね?」
 天馬「つき合ってないよ。」
 莉恋「嘘! アンタが周りに隠してるってこと、知ってるんだから‼ なんで隠すの?」
 天馬「だから、隠してないし。」
 莉恋「だって、私見たもん。つき合ってないなら、あんなラブラブのプリクラ撮れなくない⁉」  

  天馬闇堕ちモードの顏 

 天馬「好きじゃないのにキスするヤツも居るけどな。」
  
  青ざめて黙る莉恋

 莉恋(やっぱこれはデートじゃない。復讐・・・!)

  頬杖をついてため息を吐く天馬

 天馬「ないもんはない。俺がプリクラとか撮るの嫌いなの、忘れた?」
 莉恋「・・・知ってる。だから、好きな人とは撮るのかと思って、逆に信じちゃった。そっか・・・。」
   
 ホッとする莉恋
  ふっと表情をゆるめて微笑む天馬
 
 天馬「もしかして、嫉妬してんの?」
 莉恋「ブッ・・・ないないない!」

  口に含んだシェイクを吹いた莉恋 ないと返すが心は穏やかではない。

 天馬「ざんねん。」
 
  ボヤく天使モードの天馬に、莉恋は気持ちが揺れ動く。

 天馬「次はどこ行く?」
 莉恋「次って・・・もうゴハンも食べたし帰るけど?」
 天馬「ラストもう一軒つきあってよ。あ、もちろん強制参加ですけどね。」


〇新宿・某高層ビルに入っているゲームセンター
  両替機でコインに換金 山になったコインのケース莉恋に渡して、無邪気に喜ぶ天馬
  カートゲームに腰かけて、ハンドルを握る

 天馬「カートで対戦勝負だ!俺に勝てたら例の秘密を守ってやんよ。」
 莉恋「おっきいクソガキが・・・!」
 
  といいつつ、ゲーセンを満喫する莉恋
  笑顔が弾ける二人。
  
  ビッククレーンのUFOキャッチャーや体験型アーケードゲームをして楽しむ。  
  汗をかいて休憩

 天馬「次は、あれやろうよ。」
 莉恋「もう、ちょっとは休憩させてよ・・・。」
 天馬「たぶん、あんま動かないから大丈夫。」

  戸惑う莉恋の手を引いて、天馬がプリクラ機ののれんをくぐる

 天馬「スゲー。中はこうなってるんだ。」
 莉恋「さっき天馬、プリは嫌いだって怒ってたよね⁉」

  背中を向けたままの天馬が、優しく答える

 天馬「莉恋と一緒ならいいかと思っただけ。」

 莉恋(あああ、心臓に悪い! )
  
  ひそかに頭を抱える莉恋

 莉恋(天使と闇男のフリ幅エグいて!)
 
 天馬「ねぇ、お金入れたけど、このあとどうやんのよ?」
 莉恋「ああ、機械の指示通り真ん中のボタンを操作するの。」

  仕方なく操作する莉恋

 莉恋「音声に合わせて、ハイポーズ!」

  プリクラ機の指令に合わせて、何パターンもポーズを決める二人。
  最初はぎこちなかったが、変なポースをすると次第に顏が笑顔になる。

 プリクラの音声「後ろから彼が彼女をバックハグ~!」

 莉恋「さすがにそれは・・・。」

  苦笑いの莉恋 指令を行使した天馬に驚く
  天馬の腕が震えていることに気づく莉恋。

  自分を嫌いで震えていると思った莉恋は絶句する。

 莉恋(ここまでする?)

 莉恋「こんなことしてまでさぁ・・・そんなに仕返しがしたいワケ?」
 天馬「仕返し・・・ああ、まだまだこれからだから、覚悟してね?」 

  不敵に笑う天馬は後ろから莉恋の耳に囁く。

 天馬「昔のことバラされたくなかったら、今から俺と本気でつき合って。」