色恋沙汰はどこまでも

 「凛子様のぬくもりと甘い香りでイけました」

 「そうか、次はおまえが逝け」

 ニタニタしてる日髙の上に跨がってぶん殴ろうとした時──。

 「はい、どうぞ。手作りのバターです」

 手作りのバターですって、なに……?ニコニコしながら私に差し出してきたのは、ペットボトルのなかで白く固まってるバターらしきもの。もう情報量多すぎてシヌ。なんなのこいつ、マジで紛らわしくてうざいんだけど。

 「凛子様のえっち~」

 「そうか、シネ」

 馬乗りになって容赦なく日髙の顔面をぶん殴った……はずなのに、それを躱された挙げ句、なぜか私が天井と日髙を見上げてるんですけど?

 「凛子様は本当に可愛らしいお方だ。荒々しい凛子様も素敵ですけど、僕のキスで頬を染めちゃうウブな凛子様も素敵だなぁ」

 「は?べっ、別にウブとかじゃないし!赤くもなってない!勘違いも甚だしいわ」

 気づかれないように、悟られないように、私はそんなキャラじゃないって、ちゃんと隠せてたはずなのに。さっきからドキドキが止まらない、相手はどう考えたって気持ち悪い男でしかないのに。私、どうかしてんじゃないの。

 「へぇ、そうですか。僕の勘違いかどうかもう一度確かめてよろしいでしょうか?そうですね、次はもっと甘いのにしましょう」

 「ちょ、なんの冗談?いいかげんにして、ほんっとキモい」

 「ハハッ、ありがとうございます」

 「だから褒めてないし!って、ちょちょちょ!?」