色恋沙汰はどこまでも

 ── 凛子さんが俺を助けてに来た事実、凛子さんが俺のせいで傷ついた事実、そして俺が凛子さんを好きだって自覚した日。あれから1年と少し経ってんのか。

 「今日の夜なにー?」
 「あ?ああ、色々」
 「なにそれ、入学祝いてきな?」
 「ん」

 せめて凛子さんが18になるまである程度のことには目を瞑るって決めた。俺だって散々遊んできたしな。だから男ができようが別れようがとやかく言ったことねーし、これからも言うつもりはなかった……そのはずだったのに、余計な奴が現れやがったな。相手が学生だから許してきてやったんだ、それ以外の例外は認めん。学生じゃなくていいなら俺でいいだろってなんだろ。奪われてたまるか、あんな野郎に。

 「ねぇ龍、聞いてる?」

 俺の顔を覗き込んでくる凛子さんは、ほんっと距離感掴めてなくてうぜぇ。そっちはその気なくてもこっちはその気しかねぇんだよ。

 「なんすか」

 「私も手伝いっ」

 「じゃー大人しくしといてください。それがなによりも手伝いになるっすわって、いってぇな」

 俺の爪先を踏んづけ不機嫌な凛子さんは部屋に戻ってった。

 「はぁぁ、どーすんだこの同居生活」