色恋沙汰はどこまでも

 で、連れてこられたのは無駄にでけぇ一軒家。俺と住む世界が違ぇわこれ。中に入るとそこにいたのは、小学生にしちゃ無駄に整ってて大人びたガキがいた。目を細めて俺を見るガキに若干イラッとしつつも所詮はガキだろ、ビビって俺に絡んでくることもねぇわな。

 「あんた、お父さんにやられたの?それ。ハッ。だっさ、よっわ」

 「ガッハッハッ!いやぁ、なかなか強かったぞぉ?コイツ。見ろ凛子、父ちゃん目蓋の上切れちまったし!手当てしてちょ!」

 「はぁぁ。まったく馬鹿じゃないの」

 とか言いながら俺を見て、その目がどうにも見定めされてるようにしか見えねぇ。ほんっとなんなんだこのガキ。マジで気に入らねえ。

 「はい、終わり」

 「おいおい、適当だな凛子~」

 「うっさい。で、あんたは?」

 「ほっとけ、絡んでくんなクソガキ」

 その瞬間、容赦なく俺の背中を蹴り飛ばしてきやがったガキ。しかもそこそこいい蹴りしてやがるのが尚更うぜぇ。

 「言っとくけどここ(家)では女衆のほうが強いってこと覚えときなよ、ザコが」
 「んだと……っ!?いってぇなボケェ!!」

 傷口に消毒液をドバドバかけてながら見下すように鼻で笑うガキを見て、この一家イカれてんだなとしか思わん。母親もゲラゲラ笑って物凄い包丁捌きだしよ、なんなんだこれ。

 「誰に向かってボケっつってんの、ボケカスが」

 このガキ、容姿はぶっちゃけいい。認めたくはねぇけどな。だがそれを凌駕するほど口悪ィは態度悪ィはぜってぇモテねーだろ。こんのクソガキ、いつかぜってぇ泣かしてやるやからな。