「お、龍!」
「うす。なんすか、重要な仕事って」
「悪いけど凛子と現場お前に任せる!」
「……は?いや、どういうことすか」
「いやぁ、でっけぇ仕事なんだよ!地方だから暫くそっちに行きっぱっつーわけ!マイハニーも連れてくからよ、凛子のこと頼むわ!」
「は、はあ……そうすか、了解す」
「避妊はしっかりしろよ!ガッハッハッ!」
俺がそんなことしねぇこともできねぇことも分かって言ってんだろ、この人。ほんと質悪ィな。
「冗談抜きでお前にだったら凛子やってもいいぞー、強いし仕事できる男だからな!」
「はあ」
んで、そんなこんなで今に至る。なにが嬉しくてガキの面倒なんて……とか数年前の俺だったら確実に思ってただろうな。凛子さんに手料理振る舞うの久々で柄にもなく緊張してる自分にヘドが出そうだわ、きっしょ。
凛子さんももう高校生か、早ぇな。初めて会った時、凛子さんまだ小学生でそれはそれは可愛……げのないクソガキだった。数年前、とにかく調子に乗ってた俺は負け知らずで天狗になってた。それを打ち負かしてきたのが凛子さんの父親、おやっさんで──。
「へぇー、オメェか?コイツやったのは」
「あ?舐めた口利きやがったから遊んでやったんだよ」
「そうか。悪いがコイツはそんな奴じゃねぇって俺が知ってんだわ」
コイツ、強いな。そう直感で思ったのは想像を上回って、この俺が圧倒的に押される始末。マジでなんなんだ、このおっさん。場数踏みすぎだろ、きしょ。
「オメェ強ぇな!!ガッハッハッ!気に入った、行くとこねぇなら俺んとこ来いよ!ガッハッハッ!」



