色恋沙汰はどこまでも

 えーっと、それってどうなの……?なんか違くない?たぶん。

 「あ?」

 「お母様とお兄様が稼いできたお金で生活できていることを忘れてはなりません」

 「んなことてめぇに言われなくても分かってるっつーの!!」

 「お母様とお兄様が菊池様に負い目を感じるのは至極当然のこと。けれど、それだけではありません。亡くなったお父様の分まで菊池様を育てあげればならないというお母様とお兄様の“覚悟”です。女の子に気を遣うのは当たり前のことでしょう、特に菊池様のように気性も荒く喧嘩っ早い面倒な子供なら尚更でしょう」

 ぐうの音も出ないだろうね、菊池桃花。

 「菊池様から歩みよろうとしない時点で菊池様にとやかく言う権利なのどありません。とにかく今は教室へ戻りましょう、授業中ではないといえあのような形で教室を抜け出すだの言語道断」

 「うっせえ女だな、てめぇはよ」

 「なにがあっても私は菊池様の味方です。いつだって、どこでだって、私は菊池様の傍にいますから……ビシバシ再教育いたします」

 再教育宣言をした黒井さんの低い声。黒井さん、怒らせると論破攻めしてきそうで嫌だなーとか考えてると、私の前にひょこっと顔を出して微笑む日髙。なにか言いたげな感じで、うざったい。

 「なによ」

 「よかったですね。菊池さん」

 「……はあ?別に、私には関係ないし」

 「ククッ。可愛らしい、襲ってもいいですか?」

 「死にたければどうぞ」

 冷たい目で蔑むよう日髙を眺める私に嬉しいと言わんばかりの曇りない笑みを浮かべている変態。こいつ、マジで逮捕されるんじゃない?なんかしらの罪で。

 「凛子様の手によって天に召されるのであれば本望です」

 優しい瞳で私を見つめ、どこか神妙な顔つきの日髙に言い返す気力も失った。

 なんかもう、SSSってめんどくさい。