── 日髙聡、擬人化文房具の最高峰“SSS”。
「羽柴さん羨ましい~!」
「羽柴さんの超イケメンじゃん!」
「名前は~?」
なんか自由時間になりすぎて、私と日髙の周りには女子達の群れ。擬人化文房具達も日髙に『あなたが噂の!?』とか『うわっ、レアモンじゃん!』とか言われたりしてて、とにかく私の感情が徐々に死んでいく。
ブラックホールのような目をしながらなんとか抜け出すと、次は男子達に囲まれてもうため息しか出てこない。
「羽柴ちゃんの趣味は?俺ドラムにハマってんだよね」
「俺はスケボー!趣味ってか特技かな」
「俺カラオケ得意よ!一緒行かね?」
いや、悪いけど君達の趣味に興味なんてないのよ。美智瑠に助けを求めようと視線を向けると、美智瑠は美智瑠で男女数人に囲まれていた。新藤君は……うん、でしょうね。新藤君も女子に囲まれてる。松坂君は……うん、なんだろう。口から魂が抜けかけてる。
「凛子様の特技は喧嘩、趣味も喧嘩」
その声にバッ!と後ろへ振り向くと、ニコニコ微笑んでいるものの瞳の奥がまったく笑ってない日髙が立っていた。私に向ける笑みと男子に向ける笑みの差が露骨すぎて。にしてもこいつの気配感じ取りづらい、というかまるで感じない。危険すぎる。



