色恋沙汰はどこまでも

 私はすかさず『美智瑠を泣かせたらコロスぞ』な視線を向け睨みを利かせると、それに気づいた美智瑠の擬人化文房具が目を細めてこっちを見てる。で、『フッ』と小馬鹿にするように鼻で笑われた。あんの野郎──。

 「こらこら、いけませんよ?凛子様」

 ねえ、なんっっで勝手に出てこれるわけ?貴様は。

 「日髙、あんたはなんで勝手に出てこれるわけ?」

 「言ったでしょう。僕を他のものと一緒にしてもらっては困ります、唯一無二のSSSなので」

 特別だからSSSなのか、SSSだから特別なのか、それとも日髙聡だから特別でSSSなのか──。うん、考えたくもないな。

 「擬人化文房具って契約者がノブをカチカチして名前呼ばないと出てこれないんじゃないの?」

 「ええ、その通りです」

 「じゃあなんで日髙はっ」

 「僕は凛子様の意思とは関係なく自身の意思で自由に動けますので」

 ニコッと微笑みながら爆弾発言をカマした日髙に私の瞳から徐々に光が消えていく。夢も希望も失ったような死んだ魚の目が出来上がり。

 「ちなみに僕を使わない、なんて選択肢はありませんよ?授業、課題、学校関連のものは全て自身の擬人化文房具で書かなければならないという規則になっております」

 「は?マジ?」

 「ええ、“マジ”です。契約書にしっかり目を通されなかったのですか?」

 ハイ、オワタ。