みんな一斉に擬人化文房具を呼び出して、さらに賑やかになる教室内。私は意地でも呼ばないよ、もう二度呼びたくない。
ガラガラ──。
教室のドアが開いて顔を覗かせたのは、めちゃくちゃ可愛らしい人だった。
「堀江先生、理事長がお呼びです」
「あー、わかりました。んじゃお前ら副担の言うことちゃんと聞けよ~」
そう言いながら去っていく担任と入れ替わるように入ってきたのは、このクラスの副担なんだろうけど可愛すぎる。男子達の目が露骨にハートになってるわ。
「このクラスの副担任になります、綾京香です。よろしくお願いします」
「京香先生!彼氏いるの!?」
「連絡先教えてよ」
男子達が騒ぎ立てている中、チラッと新藤君と松坂君を見てみると副担には見向きもせず、なにやら頭を抱えていた。あれ?あの2人の擬人化文房具が見当たらない。どうしたんだろ、もう戻したのかな?
「品性の欠片もない」
「あぁん!?舐めた口きいてんじゃねぇよ!」
「菊池様はまずそのはしたない言葉遣いから正さねばなりませんね」
「てんめぇ!」
斜め前で擬人化文房具と揉めてる菊池桃花を白い目で見つつ、美智瑠のほうへ視線をやると──。イケメン、たしかにイケメン擬人化文房具ではあるけど、どうしてか美智瑠を見ている瞳がどことなく冷たくて、私のセンサーが反応した。



