色恋沙汰はどこまでも

 言えないけど、本当にバグかもしれないし── そういえば担任からライクのIDもらってるじゃん。ライクすればいっか、それが無難だよね。

 ((残念ですがさすがの僕でもこの状態では長く会話できることはできません。ですが、長く話せる条件はあります。それは僕の太くて固い凛々しい竿をシコシコっ))

 ((物理的に黙らせてやろうか?))

 ((ハハッ、そんな凛子様も素敵です))

 ((はぁー。で?なんなの、条件って))

 ((至ってシンプルですよ。僕を握っている限り会話が可能となります))

 今、握ってないよね?無様に机の上で転がってるよね、どういうこと?

 ((今握ってないじゃん))

 ((……))

 ((ねえ))

 ((……))

 ((おーい、日髙))

 ((……))

 本当だ、もう聞こえない。長くは持たないってそういうことか。

 てことはさ、3年間このシャーペンに触れなきゃいいんじゃない?そもそも私には必要ないし、勉強教えてもらえなくなるのは痛いけど、新藤君なら頼めば教えてくれそうだし。美智瑠は『凛子はそのまんまでいいのぉ~。神様はちゃーんとバランスとってんだからぁ』って教えてくんないから。

 「── い。おい、リンリン」

 斜め前の席にいる菊池桃花が私の机の端をトントン叩いてきて、それでようやく話しかけられてることに気がついた。

 「え?あ、うん、なに……って、リンリンって誰よ」