色恋沙汰はどこまでも

 なんかそんな制度を設けてる学園あったな。彪ヶ丘なんて比べものにならないほどの超お金持ち学園。日本1……いや、世界でも通用するとかしないとか。たしか天馬だっけ?あそこは『我が学園に擬人化文房具など必要ありません』って突っぱねたって聞いたな。政府をも黙らせて、それがまかり通っちゃうからすごいよね。

 「凛子様、何をお考えで?」

 「別に」

 「僕達の将来についてならご心配なされずともっ」

 「そんな心配は微塵もしておりませんのでご心配なく」

 「ククッ、素直じゃない凛子様もベリーキュートですね」

 この残念すぎるイケメンなんとなんないの?マジで。

 「契約者の言うことは絶対だ、だから戻せ」

 ちゃんと言うこと聞くとは到底思えないけど?

 「戻って」

 「嫌です」

 ほら、聞くわけないじゃん。

 「戻りなさい」

 「嫌です、離れたくありません」

 契約者の言うことは絶対、のはずでは?

 「いいかげんにして」

 「僕に言うことを聞かせたいのであれば、ちゃんと名をお呼びください」

 なるほど、そういうことね。

 「日髙聡、戻って」 

 「凛子様はつれないお方だ、日髙聡だなんてよそよそしい呼び方をして。“聡”とお呼びください。はい、やり直し」

 期待と希望に満ち溢れる5歳児のような表情をして私を見つめてくるのヤメテ。