色恋沙汰はどこまでも

 なんか壮大な話になってきたけど大丈夫?メジャーメントウォッチがただ故障してるだけの話じゃない?そんな伝説話されても反応に困るんだけど、なんて思いつつ美智瑠達のほうへ視線を向けると、ワクワク!ドキドキ!みたいな顔をして私を見ていた。美智瑠と菊池桃花はわかるけど、新藤君も松坂君もそんな眼差しで私を見ないで?

 「羽柴、ちょっとそれ貸してみろ」

 「あ、はい」

 担任にシャーペンを渡すと、教卓をガサゴソ漁って取り出したのは懐中電灯……?その特殊そうな青いライトでシャーペンを照らして見ている担任が、豆鉄砲を食らったような顔をしている。

 「こんなことあんのかよ。羽柴これ……SSSだぞ」

 「へっ……」

 「「「おおーー!」」」

 『へぇー、そんなのいりません』って言おうとした私の声がクラスメイト達によってかき消された。ていうかまず、なんでこんなところにSSSなんてものがあるわけ?おかしくない?もうその時点でバグじゃん。

 「まあ、あれだ。誰にも適合しないうちに回りに回って来ちまったのかね」

 いや、そんな馬鹿なことないでしょ。めんどくなって完全に思考を止めた無責任な担任はそのシャーペンを私に渡してきた。