色恋沙汰はどこまでも

 うん、めんどくさい、逃げよーっと。あーだこーだ言い合ってる日髙達はほっといて美智瑠達のもとへ向かった。

 「美智瑠、私にも包丁貸しっ」

 「ダメ~、危なっかしいからぁ」

 「なんだリンリン、包丁も使えねぇの?意外だな」

 「違う。別にできるし」

 「なら羽柴さん玉ねぎの皮向いてくれないかな?俺と松坂不器用みたいで……」

 うん、なんかもうなにをどうしたらそんなグチャグチャになるの?ってくらい玉ねぎがグチャグチャになってる。で、私の手掛けた玉ねぎも同じ現象。これはもう、玉ねぎのせいだって言い聞かせるしかない。

 「目痛いー、涙止まんない」

 「羽柴さん!?ごめん!こんなことやらせて」

 新藤君が手の甲で私の涙を拭った瞬間、私達の間にビュンッ!となにかが通過してった。チラリと見ると壁に突き刺さってる包丁。

 「あ、すんません凛子さん。手が滑りました」

 んなわけないでしょうが龍。

 「あっ、ごめん!俺の手なんかで拭いちゃって……これハンカチっ」

 新藤君がハンカチを取り出して私に差し出した瞬間、私達の間にビュンッ!となにかが通過してった。チラリと見ると壁に人参がぶっ刺さってた。

 「申し訳ございません凛子様。少々活きの良い人参で」

 んなわけないでしょうが日髙。

 「羽柴さん目ちょっと充血っ」

 新藤君が屈んで私の顔に近付いてきた瞬間、私達の間にビュンッ!となにかが通過してった。チラリと見ると壁に赤ペンが当たり前かのように刺さってる。

 「おお、悪いな羽柴。勝手に飛んでったわ~」

 んなわけないでしょうが先生。