6月某日、体育祭に向けて各クラス準備や練習に追われていた。
「あっちぃー。んだよ体育祭ってかったりぃな」
「菊池様は口より手を動かしたほうがよろしいかと」
「あ?うっせぇんだよ黒井」
「あたしリレーとか嫌いないんだよねぇ、髪崩れるし~」
「お前の髪型なんざ誰も気にしてねえっつーの。運動音痴なだけだろ」
「はあ?樹くんって絶対モテないよね~?マジないわー」
「きょうくん、これなぁに?」
「あー、こらこら。それ触ったらダメだよ、アオイ」
「あっ、あの!近いですってば!ゆのちさん!」
「別によくなぁい?普通っしょこんくらぁい」
「凛子様の消しゴムのカスがもうこんなに大きくなりました」
嬉しそうにどこからか取り出して見せてきたのは、ピンポン玉くらいに成長した消しゴムのカス。ていうか、そんなもん集めんな、気色悪い。
「キモいわ!」
私はそれを奪って容赦なくゴミ箱へ投げ捨てた。『酷いですー』とか言いながらそれを拾いに行った日髙を美智瑠以外はものすごく冷めた目で眺める。そんなような日々の繰り返しで、変わったことがあるとすらなら龍が死ぬほど距離感バグってきてるのと、新藤君がめちゃくちゃ見つめてくるのと、不意を突かれて先生にキスされそうになったりならなかったり、そして日髙は安定の変態です。
── 体育祭当日
「総合優勝クラスには“グランピング施設貸し切り”を贈呈!」



