色恋沙汰はどこまでも

 「凛子様が『好き』と言ってくれるまで離れません!」

 「ちょ、くっつくな気持ち悪い!」

 「嫌です、絶対に離れません!」

 「言わん!離れろ!」

 「そうですか。なら無理矢理にでも言わせますね」

 「は?え、ちょ、馬鹿っ……!?」

 岸本さんの目の前でこのクソ変態野郎は一体なにを考えてんの!?信じらんないんだけど!!私の意思なんてものはお構いなしに舌を入れてこようとする日髙に耐えられなくなったのは私だった。

 「んっ、んん!!好き、好き好き、好きだってば!」

 こんなの言わされたようなもん、これは私の意思では断じてない。

 「足りません、もっと言って?」

 「調子に乗んな、このクソ変態野郎が」

 「あの!!!!もうよろしいでしょうか!!」

 岸本さんの叫び声が響いて私と日髙はスンッと大人しくなり、『あんたのせいで怒られたじゃん』『僕のせいですか?』とか小声でブツブツ言い争って、日髙は渋々戻って箱に入った。あ、箱ってのは簡単に説明すると、日髙でも絶対に出れない拘束具みたいなもん。

 「羽柴さん、貴女も貴女ですよ。いい加減にしてください」

 「いや、そんなこと言われても日髙がっ」

 「この世は貴女みたいな女性がモテる仕組みになっています。わざわざ嫌がってる聡すらも手の内に置いておく意味はなんですか?」

 「……はあ?」

 「嫌いなんですよ、貴女みたいな女」

 「はあ、そうですか。別にどうでもいいですけど」