色恋沙汰はどこまでも

 「アオイ君かわいいねー、抱っこしてあげるからおいで?」

 「ダメだよ、羽柴さん」

 「いけませんよ、凛子様」

 「もぉ、なんなの?2人して」

 新藤君も日髙もムスッとしながら私を見下ろして、新藤君にいたってはしれっとアオイ君を美智瑠に渡してるし。

 「アオイくん大変だねぇ?」

 「みっちゃんもたいへん?」

 「ううん、あたしはこの状況めちゃくちゃ楽しんでるのぉ」

 「うわ、やっぱお前みたいな女嫌いだわー」

 「あたしも樹くんみたいな男ムリー」

 美智瑠の擬人化文房具 渚樹(なぎいつき)。美智瑠のこと毛嫌いしてるし、あの大概のイケメンは大好物です!な美智瑠も毛嫌いしてる。

 「あ、あのっ、ちっ、近いですってば!」
 「あーしに言ってんのぉ?謙ちゃんさー、もっと女の子になれるべきっしょ~。あーしの契約者がドーテーとかまじムリてきなぁ?」
 「ゆっ、ゆのちさん!!」

 松坂君の擬人化文房具 ゆのちは美智瑠をも越える生粋のギャル。

 「凛子様、埃が」

 「ああ……って、おい捨てろそれ」

 私の肩についてた埃を取った日髙は、それを大切そうにハンカチに包んでポケットにしまった。しかもニヤニヤしながら気色悪い。キラキラ憧れの学園生活~とは程遠い無縁、もはや地獄。

 ── で、相変わらず金曜の別れ際に駄々をこねるクソ変態野郎。毎回日髙を迎えに来てるのは委員長の岸本さんで、会うたびに私に対して当たりが強くなってってる気がする。ま、別にどうだっていいけど。