色恋沙汰はどこまでも

 ねえ、なんで俗に言うイケメンってみんないい匂いするの。もれなくいい匂いすぎない?日髙も龍も先生も新藤君も全員系統は違うけどほんっといい匂いがする……って私が変態じみてきてるわヤバい。

 「ごめん、羽柴さん。俺、羽柴さんのことがっ」

 ガチャガチャ、ガラガラ!パチッ── 扉が開いて電気がつくと、新藤君に抱きしめられてるから必然的に至近距離なわけで、電気がついたおかげで我に返ったであろう新藤君は顔を真っ赤にしながら離れて、それにつられて私もなんとなく顔が火照ってくる。

 「あ、あの、ごめんね、羽柴さん」

 「あ、いや、別に」

 目と目が合って、お互いなんとなく息が浅くなるのを感じる。今さっきまで真っ赤だった顔が少し落ち着いて、なんか神妙な面持ちで私を見つけてくる新藤君。

 「ごめん、羽柴さん。もう我慢できそうにない、許して」

 「え、なっ……」

 私の頬を優しく包み込んだ新藤君の手は少し冷たくて、でも重なった唇はとても温かくて──。

 「おーい、誰かいねぇか?」

 先生の声が聞こえて、新藤君の唇は名残惜しそうに離れていった。ポカンとするしかない私に優しく鼻で笑って頭を撫でながらマットから降りた新藤君は入り口のほうへ向かった。

 「堀江先生」

 「うおっ、新藤じゃねーか。なにしてんだよ」

 「いやぁ、いないと思われたみたいで閉じ込め食らってました」

 「おいおい、マジか。気をつけろよ?シャレにならん」

 「ハハッ、すみません」

 「つーか羽柴見てねぇか?」