色恋沙汰はどこまでも

 『ええ、バグでしかないしょうね』としか言いようがない。

 「私達はSSSのデータが欲しい。だが、貴女のような……まあ、貴女のような……えー」

 「あーもうなんでもいいですよ。私みたいな女だと、ろくなデータが録れない可能性があるから使わせたくない返して欲しいってことなのではー?別にいいですけど、あいつが離れてくれるなら私的にも助かるんで。あいつが離れてくれるのならね」

 だいたい、あいつがヌルッと出てこないのがおかしい。マジでなにしてんの、出てくるタイミング意味わかんないわ。私は鞄からシャーペンを取り出した。

 「日髙、出てきて」

 「……」

 「日髙」

 「……」

 「出てこいって言ってんでしょ、このクソ変態野郎が」

 「いやぁ、参りましたね。おはようございます凛子様、今日もお美しい」

 相変わらず気配なく私の背後を取る日髙に心底うんざりして、ため息しか出てこないわ。

 「日髙、今日でお別れみたい。さようなら」

 「ハハッ、ご冗談を」

 「だいたいなにしてたのよ」

 「凛子様の体液を分解させるのが惜しくなってしまいまして、行動を制限していました。呼吸もなにもかも最小限に」

 「へえー、きもー」

 「ククッ、愛らしいお方だっ……ぐはぁっ!?」

 後ろから抱きつこうとしてる気配を察知して、近付いてきた日髙の顎を容赦なくアッパー。