色恋沙汰はどこまでも



 「すみません、お待たせいたしました」

 そう言いながら会議室に入ってきたのは、いかにも研究員ですみたいな雰囲気の男とその助手ですみたいな感じの女、でさっきの案内人。案内人はお茶を出してそそくさと退散した。ドラマとかでよく見るような大きな会議用テーブルに向かい合って座り、チラッと前を見ると研究員の男と目が合った。

 ま、なんとなくだろうなとは思ってたけど、全然歓迎ムードではないよね。しかも見下すような目で見てくる時点でお察しだけど。呼んだのそっちなくせに随分と舐めた態度……なーんて思ってみたりみなかったりして?ははは。

 「私は擬人化文房具特別調査委員会 会長 日髙翔(ひだかかける)と申します」

 え、今『日髙』って言ったよね?え?あのクソ変態野郎の生みの親ですパターンきた?

 「私は擬人化文房具特別調査委員会 委員長 岸本佳南(きしもとかなみ) です」

 「私は彪ヶ丘学園、羽柴の担任の堀江信宏です」

 先生って一人称『俺』なのに、こういう時しっかり『私』に切り替えてるの大人だなー。本当に色々と意外すぎる。

 「私はっ」

 「羽柴凛子さん、単刀直入に申し上げます」

 私も自己紹介しようとして、それをスパンッと遮ったのは日髙会長で。

 「貴女のような平凡生徒にSSSの使用を許可するわけにはいかない」

 「は、はあ、そうですか」

 「貴女のことは調べましたよ、随分と野蛮な日常をお送りだったようで?単細胞で生きてきたんでしょう。学力も平凡もしくは平凡以下。運動能力はまぁそこそこ。で、取り柄はその容姿くらいでしょうか?」