色恋沙汰はどこまでも

 この人、なんか本当に適当そうな人だなぁ。ていうか、これからどこ行くんだろう。デートなわけでもあるまいし、そもそもなんでスーツ着てんだろって感じだし。

 「擬人化文房具特別調査委員会、その本部に今向かってる」

 「へぇー。……ん?」

 「ま、そーゆーこと」

 「え、どーゆーこと」

 それから下道が面倒とか言って高速に乗り、『ここのパーキングのソフトクリームうめぇぞ』とか言ってなぜか奢られた。

 「うめぇだろ」

 「美味しいですね」

 「こっちの食うか?そっちのもくれよ」

 「あー、どうぞ」

 お互いスプーンで食べてるし『ま、いっか』くらいにしか思ってなくて、先生もあっけらかんとしてるから特に気にも止めず食べ合いっこしてる。

 「先生のやつのほうが美味しいですね」

 「交換してやろっか?俺はどっちでもいいぞ~」

 「いや、いいです」

 「そうか」

 『クソしみるわ~』とか言いながらちゃちゃっと食べ終わった先生は目と鼻の先にある喫煙所に行きたいのか落ち着きがなくて、『どうぞ、吸ってきてください』って言ったんだけど、『いや、いい』の一点張り。

 「で、どうだ」

 「え、なにがですか」

 「SSS」

 「ああ」

 言えない、あんなことがあったなんて言えるわけがない。そもそも先生もSSSがあんな奴とは思ってなかっただろうし、ゴリ押ししてきた先生は少なからず責任とか感じてそうで、なんかそうやって無駄に責任みたいなの負わせるの嫌だし、だから余計なことは言わない。そもそも面倒なことになるのがめんどくさい。