色恋沙汰はどこまでも

 「おはようさん」

 「お、おはようございます」

 「おい。センコーが休日に生徒と出かけるってのはどういうことだ」

 龍が取って食いそうな勢いで担任に接近したから慌てて裾を引っ張って、こりゃ担任もビビっちゃってるだろうなって思ってチラ見したら……めちゃくちゃ興味なさそうな顔してるっていうか『なんだオメェ』感が半端ない。

 「どちらさんで?」

 「あ?」

 「あー、この人は親の会社の従業員で」

 「そうか。じゃ行くぞ~」

 「おい、待て。話は終わってねえ」

 「なんですか、急ぎなんですけどね」

 「なんの用で凛子さんを連れて行くのか説明しろ。つーか俺も同伴する」

 「悪いがそれは無理だ、部外者に聞かせられる話でない。それに羽柴の親御さんには事前に許可を得ている。これ以上話すことはない」

 ねえ、なんで担任までピリピリしてんの……?もお、ほんっと勘弁してよ。だいたい龍も龍で昨日から様子おかしくない?過保護っぽくはあったけど、男がどうのこうのって口出してきたりもしなかったし、彼氏ができようが別れようが特に感心なさそうだったんじゃん。

 「龍、ちゃんと連絡するから」

 「飯」

 『夜飯なに食いたいんすか?』って聞きたいんだろうけど、もう拗ねくれるモードに入ってる龍はいつも以上に言葉足らずになる。

 「カレーが食べたい」

 「ん。凛子さんになんかあったらただじゃ済まねぇぞ」

 「行くぞ、羽柴」

 「え、あ、はい。じゃ、行ってくるね」

 「ん」