冷徹の先にー司と紗奈ー


第16章 - 未来を共に
紗奈は、学校生活が終わるたびに心の中で強く思っていた。冷徹で強くなりたい、司を超えたい、その一心で毎日を過ごしてきた。しかし、試練を乗り越え、司との距離が縮まるたびに、心の中で生まれる感情があった。それは、冷徹さを極めることだけでは手に入れられない、もっと深い部分の感情だった。
「司を超えたい。」その思いは今も変わらない。だが、彼に対する感情がどんどん強くなっていく自分を、紗奈は感じずにはいられなかった。
その日、放課後。紗奈は校舎の裏で一人静かに座っていた。今までの自分を振り返りながら、次に何をすべきかを考えていた。しかし、その時、背後から声がかけられる。
「お前、また一人でいるのか?」
振り返ると、そこには司が立っていた。彼の冷徹な目は、いつものように鋭く、だがどこかしら優しさを感じさせるものがあった。
「少し考えていただけです。」紗奈はしっかりと答え、立ち上がった。
「考えすぎるのもよくない。」司は冷徹に言ったが、その声にはどこか親しみが感じられた。「冷徹さばかりを追い求めることに疲れたか?」
その言葉を聞いて、紗奈は少し黙った。司が言う通り、冷徹であり続けることだけが強さだとは思えなくなってきた。心を開くことが、時には強さになることもある。そう感じていたからこそ、彼に対する気持ちがどんどん膨らんでいくのを感じていた。
「強さって、何ですか?」紗奈はふと、問いかけた。
司は少しだけ目を細め、言った。「強さとは、自分の心をしっかりと持ち、それを守る力だ。」その言葉が、紗奈の心に深く響く。冷徹さを持ちながらも、他者を受け入れる強さ。それが本当の強さだと、彼の言葉から学んだ気がした。
「私は、あなたを超えたい。」紗奈はゆっくりと、その思いを口にした。「でも、冷徹さだけではダメだと気づきました。心を開き、あなたを知ることも必要なんだと思います。」
その言葉を聞いて、司は少しだけ黙ったまま彼女を見つめ、しばらくの沈黙の後、静かに言った。
「お前、少し変わったな。」その言葉に、紗奈は胸が高鳴った。冷徹さだけではなく、心を開いて成長しようとする自分を司が認めてくれたような気がした。
「これからどうすればいいんですか?」紗奈は思わず尋ねた。
司は少しだけ真剣な顔をして答えた。「お前がこれからどうしたいかだ。強さを求めるのなら、それを心から理解して受け入れることだろう。だが、冷徹でいるだけじゃ心が疲れてしまう。」
その言葉に、紗奈はしばらく黙って考え込んだ。自分が目指してきた強さは、ただ冷徹であることに価値を見出していた。しかし、今は心の中で、冷徹さを超える強さが必要だと感じていた。
「私は、これからもあなたを超えるために戦い続けます。でも、心を閉じて戦うのではなく、心を開いて戦う強さを手に入れます。」紗奈はそう決意を込めて言った。
その言葉を聞いた司は少しだけ微笑んだ。「それでこそ、お前だ。」彼の声に、わずかながら温かさを感じ、紗奈の心は少しだけ軽くなった。
「でも、超えるって言っても、俺を超えた先に何があるかはわからないぞ。」司は冷徹な目を向けながら言った。しかし、その目にはどこか安心したような色も浮かんでいた。
「わからないかもしれません。でも、それを見つけるために戦い続けます。」紗奈はしっかりと答えた。その言葉が彼女にとって、心からの決意となった。
司は黙って彼女を見つめ、しばらくの後、静かに言った。「なら、お前にはその強さを見せてみろ。俺はそれを見届ける。」
その言葉に、紗奈は胸を張った。冷徹で強い自分を目指すこと、それだけではなく、心を開き、司との関係を深めること。それが、自分の本当の強さだと信じることができたからだ。