「とは言っても……なにをどうすればいいのかな?」


 今朝も私は巫女装束姿で神社に参拝をしながら、ひとり言をつぶやいていた。

 まだ敵の親玉が誰なのかもわかっていないしなあ。

 私にできることなんて、こうしてみんなの勝利と安全を祈願(きがん)することくらい。

 この神社は由来が不明だから、なんの神様を祀っているのかわからないけど、神様同士なら知り合いかもしれないしね。


「でもちゃんとご利益あるのかな? ……あ、そうだ! 御神体(ごしんたい)の前で直接お願いすれば、もっと効果があるかも!」


 御神体っていうのは、神様が宿る物体のことだ。剣とか、鏡とか、像とかね。

 それは神社の奥の、本殿(ほんでん)っていう場所に祀られている。

 本来なら、神聖な神様を見るって行為は禁じられているんだけど、今はそんなこと言ってる場合じゃない。

 私は急いで本殿へ行き、いつも厳重に閉じられている古めかしい木の扉の前に立った。


「神様、ごめんなさい。お部屋に入らせてください」


 世界平和のためなら、神様も嫌とは言わないはずだよね。

 もしもダメだなんて言ったら、私、明日から仏教徒になっちゃうから!