相談室のきみと、秘密の時間

あれから一年、また東京は桜が満開だった。
慧悟さんとの日々はとても穏やかに過ぎていく。

彼はいま、私の隣で全てを許した表情で寝息を立てていた。
彼を蝕む、心の病気はまだ完全には治っていない。
でも、共に生きていくこの時間が必ず慧悟さんを癒してくれる。

「おはよう、慧悟さん。お仕事の日だよ。外は桜が綺麗だよ」
「おはよう、彩葉」

慧悟さんと、おはようのキスをした。

「一緒に外行こう」

私は大学2年になって、心理学を勉強している。
これからも抱いた夢は変わらない。
そして、この部屋に慧悟さんと2人で暮らしている。

今日も2人、手を繋いで外に出る。
桜が綺麗だね、と笑い合いながら。

ーー「いらっしゃいませ」

慧悟さんはいまカフェで働いている。
あの時、相談室で入れてくれたコーヒーや紅茶、お菓子はここで食べられる。

穏やかな顔で「みんな、僕が作ったものを飲んだり食べたりして、楽しそうにしてくれてると嬉しい」と言った。

慧悟さんがありのままでいられる場所はこれからも少しずつ増えていく。彼の本当の笑顔が眩しかった。

「慧悟さん、カフェラテください」

「了解。彩葉、ゆっくりしていってね」

「うんっ」

こうして相談室のきみと過ごした、秘密の時間は永遠になった。
私はこれからもずっと隣で、きみの特別な笑顔を見つめ続けるーーー

【To Be Continued……】