相談室のきみと、秘密の時間

あの日、聞こえた言葉が何だったのか、今ならわかる。

『信じて』

そう聞こえたんだ。
君の声だった。

「慧悟さん、私もカウンセラーになります。貴方のせいです。貴方を救いたいんです。一人では成し遂げられないことも、二人ならできるんだって信じさせてくださいよ」

「でも僕は……もうそんなにがんばれないよ」

「がんばらなくていいから。ただ一緒に生きていきましょう」

「それでも僕はきっとこれから先も君を傷つけるだけで、負担にしかならないよ」

「私がそうはさせない」

「……ずっと、毎日、気が付けば彩葉のことを探してた」

「慧悟さん、私だってそうだったよ。だから私たち2人でいれば無敵なんです」

「この気持ちはずっと隠して生きていくつもりだった。それなのにーーー愛してる。本当はずっと愛しくてたまらないんだ」

「私もーーー愛してる」

慧悟さんが、ゆっくりとメガネを外した。
それを見て、私もずっと掛けていたメガネを外した。

「誰にも渡したくないーー」

慧悟さんと初めて重ねた唇は今まで私が感じた全てよりも熱くて、二人の心を甘やかに溶かしていった。

もう雪だって、桜だって構わない。
ここは、慧悟さんのいる場所。

普通になりたい。私はずっとそう思っていた。
だけどもう普通なんか要らない。
君と生きる人生だけが、私の鼓動を今も揺り動かしているから。