卒業式当日、この街ではまたハラハラと雪が降っていた。
それは同時に、東京で例年よりもかなり早く桜が満開というニュースが流れた日だった。
卒業証書を持って、私が最後に向かったのは村越さんとの思い出が詰まった相談室だった。
もう誰もいないはずなのに、何も残っていないはずなのに、懐かしいコーヒーの匂いと慧悟さんの笑い声と眩しさを思い出して私は気持ちを押し止めることが出来ないままに涙を流した。
「卒業、したよ.......」
私は慧悟さんの使っていたテーブルの上に卒業証書を置いて見せた。
慧悟さんは喜んでくれるだろうか。
ふと、テーブルの引き出しが目についた。開けると、そこには慧悟さんがいつも使っていた手帳が入っていた。
ページをめくると、そこにはとても小さな文字で日記のようなものが何百ページにも渡って書かれていた。
ーー八月の蝉しぐれがうるさいくらいに鳴く夕方、高遠彩葉さんが相談室にやって来た。六年振りに近くで見た彼女は背が高くなっていて、声も違くて、そしてとても寂しそうだった。
僕は今度こそ君の力になりたい。だから神様お願いします。僕にあともう少しだけ頑張れる力を貸してください。
「私だって、もう一度会えて嬉しかったよ」
それは同時に、東京で例年よりもかなり早く桜が満開というニュースが流れた日だった。
卒業証書を持って、私が最後に向かったのは村越さんとの思い出が詰まった相談室だった。
もう誰もいないはずなのに、何も残っていないはずなのに、懐かしいコーヒーの匂いと慧悟さんの笑い声と眩しさを思い出して私は気持ちを押し止めることが出来ないままに涙を流した。
「卒業、したよ.......」
私は慧悟さんの使っていたテーブルの上に卒業証書を置いて見せた。
慧悟さんは喜んでくれるだろうか。
ふと、テーブルの引き出しが目についた。開けると、そこには慧悟さんがいつも使っていた手帳が入っていた。
ページをめくると、そこにはとても小さな文字で日記のようなものが何百ページにも渡って書かれていた。
ーー八月の蝉しぐれがうるさいくらいに鳴く夕方、高遠彩葉さんが相談室にやって来た。六年振りに近くで見た彼女は背が高くなっていて、声も違くて、そしてとても寂しそうだった。
僕は今度こそ君の力になりたい。だから神様お願いします。僕にあともう少しだけ頑張れる力を貸してください。
「私だって、もう一度会えて嬉しかったよ」


