相談室のきみと、秘密の時間

「お疲れ様でした。このテストの解釈方法もたくさんあるんだけれど、今回は時間をかけて解釈するよりこの絵を見て感じたことをそのままに取り上げていきたいと思ってる」

「分かりました」

「じゃあ、ちょっと見せてね」

村越さんはそう言って紙を受け取ると、近くで見たり遠くから見たり上下や表裏をひっくり返して見たりした。まるで骨董品の鑑定みたいだなと思った。

「すごいね。これは君そのものだよ」

1分間ほど黙って見た後、村越さんはそう言って笑った。

「私らしいってどういう風に見えるんですか」

「まず全体のバランスが良く取れている。木の幹の太さや葉の大きさや枝ぶり、そしてしっかりした根っこが描けているね。

君は周りをよく見ていて、そして周りに自分を合わせようと思っている。でもそれは嫌々やっているんじゃなくて、そうすることそのものが君の心のバランスをとる上で必要なことだからやっているんじゃないかな。

だから大抵君の心は安定しているし、周りも君を信頼している。実の数やバランスも上手く配置されていて、君のエネルギーが自然に巡っているように見える」

「何だか誉められてばかりですね」

「完璧過ぎるくらいだね。君は初めてここに来た時よりずっと生き生きとしているように見える。柔らかく笑うようになったし、心をひらくことが上手になった。だからこうして豊かな木が描けるんだ」

でもそれは村越さんの力以外に他ならないと思った。

初めはただ進路を決めたくてここに来たけれど、いま私が心から求めていることは違っている。

それが叶うなら、進路なんてどうなったって良いとさえ思っている。