相談室のきみと、秘密の時間

ビーチに着く頃には6時半を過ぎていて眩しいくらいだった日の光は弱くなり、オレンジジュースみたいな色をしていた海の色もやや暗くなっていた。

海水浴客は始めから居なかったけど、賑やかだった海鳥もビーチの上に歩いているかなと思った小さなカニたちさえ居らず、夜の気配を感じて家に帰ってしまったみたいだった。

「海に入るには少し寒くなっちゃったね」

「普通はもう帰りますよね」

「せっかくの水着姿、楽しみにしてたのにな」

「だから持ってきてないって!」

村越さんのははという乾いた笑いが響いた。

言葉にすることが出来ないならば、と私は半ばヤケになって靴と靴下を脱ぎ、ビーチの端に向かって思い切りほおり投げた。

「やっぱり海、入りましょう」

「いいよ」

村越さんは髪をかきあげ耳にかけた。

「でも君が思うほど世界は甘くない」

「分かっています。それでも私は今止まったら一生後悔し続ける気がするんです」