相談室のきみと、秘密の時間

「なるほど。でも私は何に怒っているんだろう。自分の心のことのはずなのによく分かりません。だけどそのことを解決すれば進路の悩みも解決するんでしょうか」

「どちらかと言うと僕が解決すればいいなと思うのは君がその後に話した心の渇きのようなものの方。

多分物事には順序があって善を急いで目先のことだけを解決しようと頑張っても、もっと根の深いところで問題が渦巻いたままなら同じ貉に戻ってしまったりする。

君にとっては進路が決まることが最重要で最優先に思えても、長い目で見れば今は君の心の渇きのようなものを掬う方が最善なんだよ」

「乾きはあります。確かに。でもそれについては上手く言葉にできないし、進学先よりもっとどうしたらいいのか分かりません」

私が何だか情けなくなって俯く。
村越さんは俯いた視界のちょうど真ん中の辺り、テーブルの上を右手の人差し指の先でトントンと叩いた。
目線を上にあげ村越さんに見ると、いつものあたたかな笑顔がそこにはあった。

「君は大丈夫。僕と最初に会った時にもうちゃんとそのことを言葉にできたんだから。そして君は努力家なことも分かっているよ。

だって一昨日からすぐ今日ここに来てくれたんだ。こうして僕の目にはちゃんと見えるのだから、君ももう少し頑張ればもっと上手く見えるようになる。そしてひとつ良くなれば、色んなことが良くなっていく」

「そうだといいな」

「そうだ、絶対」

って絶対なんて決めつけた言葉、カウンセラーは使っちゃダメなんだけどさと村越さんは続けた。