相談室のきみと、秘密の時間

夏休み明けに、進路希望表を提出しなきゃいけないのに何も決まっていない。

友達は就職にしろ、専門にしろ、大学進学にしろ、皆なにかは目標を持っているのに。
私は普通に生きていければいいとしか思えない。
困らない程度に生活ができて、程々に趣味とか楽しめて。
でもそれがどんなことなのか分からないから苦しい。
私には何もない。空っぽだ。

私はこのような話を村越さんへと伝えた。
彼は深く頷きながら、たまに口元に握った手を当てたりして何かを考えているように見えた。

「自分のことを何もないなんて言わないで」
「何もないから先のことを決められないんだと思います」
「違うよ。今、君は立ち止まっているだけ。きっと何か理由があるんだろうね」

これまでの人生でこんなに真剣に話を聞いてくれる人がいただろうかと思った。
そして自分が誰にも心を開いて話そうとしてなかったんだと気づいた。