すすすすす、と。疑問に思う間も無く距離を詰められていた。ある意味忍者みたい。
「ねえねえふうちゃん!名前伏せてるのは何か理由でもあるの?」
それに、にこにこ満面の笑みを浮かべている裏で、腹に一物を抱えていそうなところなんて、特に。
「……別段意味はないですね。ただ悪用されないように、と思いまして」
「わあ、ふうちゃんひっどーい!僕らをなんだと思ってるの?!」
「金銭感覚とち狂ってる問題児ですかね」
「それは言えてる」
「自覚がおありで……」
どうせ本名なんて教えた暁には、お狂いになってる金銭感覚を乱用して個人情報を探りあて、その手に握りしめながら笑顔で脅してくるんだから教えないほうがいいに決まってる。
……というのも、学院長からの入れ知恵ではあるのだけど。
「じゃあ、ふうちゃんも名乗ってくれたし、僕たちの方も自己紹介しようかな!」



