がんじがらめに傅いて


𓍯




「─────さすが、国内でも偏差値と学費がトップの中高一貫校。系列の大学への内部進学率が高いのも頷ける」



その建物は、きらきら煌めいていた。

まるでそこに住む者の威光を象徴するかの如く、それはもう、……庶民にはすこしばかり鬱陶しいと、感じてしまうほどに。


そして、開け放った玄関の大理石を叩く足音が軽やかに、けれどとある人たちにとっては重々しく鳴った。


ラウンジに集まっていた人間の視線が、私へと一斉に、四方八方から寄せられる。

それらの視線に内心辟易しながら、にこりと笑みを取り繕う。それにならうように、申し分程度に首を垂れ、宣言した。



─────さてさて。

それじゃあお給料分くらいは、〝邪魔者〟を演じるとしましょうか。




「お初にお目にかかります。私は本日付けで花藍(からん)学院へ転入し、あなた方のクラスメイト兼お目付け役を任じられた者です。─────以後、お見知り置きを」