綺麗な箱庭を作りましょう

話す気は毛頭なかったが、つい気になって話しかけてしまう。すると男性の一人が「まさか」と他の通行人が振り向くほどの大きな声で笑った。……ものすごく下品に見える。

「君らにお金出させるわけないじゃん。こっちは将来のエリートだよ?荷物持ちくらい確保してあるから」

「あっ、やっとあいつ来たわ。遅せぇよ!グズグズすんな!」

男性の一人が大声を上げる。その視線の先にいた人物を見て、私は自分の中で時間が止まったような感覚を覚えた。

艶めくシルバーの髪、パッチリと大きなブラウンの目、筋肉質で高めの身長、全てが私の好みだった。途端に胸が苦しくなる。もしかして、この感情ってーーー。

元の世界だったら、きっと彼はイケメンだと騒がれていただろう。でもこっちの世界じゃ逆だ。自分よりずっと背の低い人間に馬鹿にされ、ああしてこき使われている。友達も口には出さないものの、「うわ……」と彼の容姿に引いている様子だった。

「お前!さっさとしろよ!お前は荷物運びしかできねぇんだからよ!」

「ご、ごめん……」