私はあなたのお人形

映画が終わった後、マシューさんと映画館の近くにあるカフェに入って映画の感想を話した。マシューさんは、映画館に来るまでが嘘みたいにたくさん感想を話していた。それを聞いていて、すごく楽しくなる。

「次回作も楽しみですね！」

「うん！早く観たいな〜」

楽しい時間はあっという間に過ぎていく。地獄は少しずつ近付いてきていた。



マシューさんは寮には住んでおらず、自宅から大学に通っているらしい。寮まで送ってもらい、私は部屋の鍵を開けた。部屋の中は真っ暗だ。

（ルイスさんは流石にもう帰ったよね。いつもよりずっと遅い時間だし）

真っ暗な廊下を進み、リビングの電気をつける。明るくなった室内を見て、私は大きな悲鳴を上げてしまった。帰ったと思っていたルイスさんがソファに座っていたからである。

「ル、ルイスさん！！まだいてくれてたんですか！？」

ルイスさんは光のない目で私を見ていた。そして、驚くほど低い声で「デートは楽しかったですか？」と訊ねる。