私はあなたのお人形




講義が全て終わった後、友達に手を引っ張られ、背中を押されて私のことを気になっているという人と会った。ふわふわとした髪に青い目の男性だ。

「あっ……。えっと、は、初めまして。マシュー・ホワイトです。……よ、よろしくね」

どうやら人見知りする人のようで、どこかオドオドしながら自己紹介をされた。私も少し緊張しながら自己紹介をする。するとマシューさんが訊ねる。

「ゆ、由依さんは映画好き……?」

「はい。好きですよ」

「……ぼ、僕も映画好きなんだ!」

二人が観たいと思っていた映画がこの前映画館で公開されたばかりだ。今日のデートは映画館で決まりだ。わくわくしながら映画館へと二人で向かう。

マシューさんはあまり話が得意な人ではないみたいだ。私もそれほど話すのは得意じゃない。映画館へ向かう道中、沈黙の方が長かった。……でも、その沈黙は決して気まずいものではなかった。

「マシューさん、ポップコーン食べますか?」

「た、食べたい!メープル味がいいな!」