もっと、甘くして。


「...そうだよね。俺ずっと......橋本のこと傷つけてたよね...」

「......そうっだよ!......私、高山くんのせいで...」


本当は彼のせいにしたくない。

もう高山くんのことは好きじゃないけど、昔の好きだった頃の思い出が全部溢れきて。

今も優しくしてくれるから、気持ちが分かんなくなっちゃって。

...甘い記憶をまた取り戻したかった。


わんわんと子供みたいに泣いていると、高山くんがぎゅっと抱きしめてきた。


「高山く...」

「本当に、ごめん」

「風邪...移っちゃうよ...」

「いいの、そんなことは別に」


ぐっと引き寄せてきて、私を慰めるように頭をなでる。


「高山くん...私のこと嫌いなんでしょ、離れた方が...」


今の状況を信じたくなくて、信じれなくて。


「そう...思われてても仕方ないよね。でも、俺はずっとあの時から橋本のことが好きだよ」

「...うそ」


騙されちゃいけない。

だってもう傷付きたくない。