もっと、甘くして。


ある日、私は風を引いて学校を休んでしまった。

かなり熱が出て、ベットから出れないくらい。


コンコン...


「ひなのー?」


お母さんが呼ぶ声がする。

意識がもうろうとする中、ゆっくり起き上がる。


「クラスの高山くんが、荷物とかプリント届けに来てくれたわよ」


...は?

今いるってこと?


「ひなのと少しお話したいみたい。入っていいかしら?」


話って...なに。

これ以上高山くんと何を話す必要があるの。


だけど拒むことはできなかった。

お母さんは私の過去の事情を知らないから。


嫌だっていったら不審に思われちゃう。


「うん...」


か細い声でそう言うと、ガチャっと扉が開いた。


「橋本...大丈夫?」


ものすごく心配した顔をしている高山くん。

手には私の荷物と、ビニール袋が。


「これ、よかったら食べて。ゼリーとスポーツドリンク」


「......ありがとう」


...優しい、ただのクラスメイトにここまでしてくれるなんて。

まして今まで避けていたのに。