もっと、甘くして。


そして、高校一年生になった今に至る。


でもまさか、そうなるとは思わないじゃん。

高校でも同じクラスになるなんて。


クラス名簿を見ると、見慣れた名前があった。

——高山咲也。


なんで…。


中学も同じだったけど、一回も同じクラスにはならなかった。

それが、私が中学三年間を平和に過ごすことができた唯一の救いだったのに。




高山くんは、高校でも人気になった。

すぐに女の子たちに囲まれて、漫画でよくあるような、校内のかっこいい王子様になった。


でも私の大人しさや地味さは変わらず。

教室の隅でただ本ばかり読んでいた。



でもある時、高山くんに声をかけられた。


「…橋本、今度クラスのみんなで打ち上げあるんだけど、来ないか?」


なんで話しかけてきたのか分からない。

きっと他の子が、私と高山くんが同中だって聞いて頼んだんだろう。


私はあの時と違って、優しく声をかける高山くんにムカついてしまった。

私にしたことを忘れたかのように、話してきたから。



その仕返しじゃないけど、冷たく返してしまった。