「あ、あの!ちょっと!」
ぐいぐい腕を引っ張ってくる。
相手の力の方が強くて、うまく振り解くことができない。
ど、どうしよう…
待ち合わせ場所からは離れてしまうし、何より無理矢理で怖い…
ぐっと、怖さに耐えつつも何もできないままでいた。
すると突然、私の腕が誰かの手によって男性の手から離れた。
「離せよ。嫌がってるのも分からないのか?」
聞き慣れた声。
この声を聞くとすぐに恐怖心は消え去った。
私は今まで、ぶっきらぼうだけど優しいこの声に何度救われてきたことか。
見上げると、思ってた通り天野がいた。
「天野!」
「悪い、もう少し早く着けばよかった…」
少し遅れたことを後悔してる。
「僕はただ、彼女に道を聞いてただけで…」
「じゃあ俺が案内しましょうか?」
真っ黒な笑顔で話す。
洒落にならないくらい目の奥笑ってないって……
それを見た男は、ひぃっと怯えてすぐに逃げてしまった。


