「すみません。道をお尋ねしたいんですが…」
自分よりかなり背丈のある男の人。
眼鏡をしていて地味な印象を受けた。
「良いですよ、どこですか?」
困っている人がいたら助けるのは当たり前。
私は快く、男性の申し出を受け入れた。
「ここの駅近くにあるショッピングモールなんですけど…」
「あぁ、それならここから真っ直ぐ行って、右に曲がってから……」
丁寧に、モールまでの道を説明する。
「……少し複雑ですね。もし良かったら案内してくれませんか?」
「あ、案内ですか…すみません、知り合いと待ち合わせしているので…」
流石に待ち合わせ時刻が過ぎてしまう。
案内はちょっと……と控えめに拒否していると
「ちょっとだけでも良いので。ほら、お願いします」
そう言って男の人は私の腕を掴んで、案内させようとした。


