その日の夜。 早めに帰った由人は、そういえば、薬川は何処にいるんだ、と思っていた。 この家の何処かで暮らしているようだが。 この家は広すぎる……。 佑茉のエリアとの境である玄関ホールに立つと、カチコチという振り子時計の音が高い天井に響いている。 生活音のカケラも聞こえてこないな。 電話でもしてみるか。 ……一応、同じ家なのにな、と思いながら、由人は佑茉に電話してみた。 このプライベート用の電話。 最近、ほぼ、薬川と連絡するためにしか使ってない気がする、と思いながら。