翌朝、会社のエントランスで佑茉は由人に会った。 「あ、おはようございます」 「おはよう」 昨日、本気ではないとは言え、『俺は真剣に申し込んでいる』と言ったことなど忘れたように、事務的に由人は挨拶してくる。 一緒にロビーを横切りながら、佑茉は由人を見上げて言った。 「あの」 「なんだ」 「家もらいました」 「家?」 「おじいさまに家もらったんです」 「誰が?」 「あなたと私が」 由人が足を止めた。