庭に出た佑茉はしゃがんで地面を見つめていた。 夕日のせいで、背後から近づいてきた人の影が自分の上にかかるのが、ぼんやりと見える。 「薬川」 どんな顔で振り向こうかなと思ったとき、由人が言った。 「この家を出ていかないか?」 慌てて、佑茉は振り返る。 「部長、出て行っちゃうんですかっ?」 「いや、よく聞け」 由人はちょっとだけ、上司の顔に戻り、駄目な部下に言い聞かせるようにそう言った。