夕方、佑茉が社食から、テイクアウトのコーヒーを手に出てくると、 「薬川さん」 と湯沢が声をかけてきた。 「ちょっと赤荻のことが噂になってたみたいなんですが。 聞かれました?」 「ああ、部長に彼女がいるって話ですか?」 「なにかの間違いだとは思うんですが」 由人はあのあと、近場に出張に出てしまったので、誰も彼に詳しい話を聞けてはいなかった。 「すみません。 実は赤荻には……」 「気になる女性がいるそうですね」 はい、と湯沢は頷く。 「もしかしたら、彼女の名が、ゆかりなのかもしれません」