無気力な王子様は、今日も私を溺愛したがる



私の体は、確実に線路の方に向かっていて。


なんとかホームの上で踏ん張っているこの足がたえられなくなったら、私は確実に線路に落ちてしまう。


そんな、焦燥感のあまり頭が真っ白になった。


ど、どうしよう……!!


落ちる……!!


周りの音は何一つ聞こえない。


聞こえるのは、私の激しい鼓動の音だけ。


激しい痛みを想像して、ぎゅっと目をつむった。


……ああ、このまま死んじゃうのかなぁ。


人生ってあっけない終わり方をするんだね……。


だけど、そんなことを考えていた私のもとには、想像していた痛みは訪れなかった。



「朝倉、さん……っ!!」



その力強い声と共に、私の体はぐんっと後ろに引っ張られたのだ。



「え……っ」



ふわっ、と甘い柑橘系の匂いがただよう。